老朽管更生工事(その6)Vol.3
管更生工事には、いろいろな工法がありますが、今回施工するオールライナーZ工法は、工場で含浸されたライナーホース(ガラス繊維
及び不織布※1に熱硬化性樹脂を含浸させたもの)を既設人孔より本管内に引入れた後、ライナーホースに水圧又は空気圧をかけ拡張し、
温水又は蒸気を循環させ樹脂を硬化形成させて、既設管きょ内に新しい管きょを形成する工法です。
※1:不織布(ふしょくふ)とは、繊維を合成樹脂や接着剤などで結合させて、織ったり編んだりせずに
絡み合わせて作り上げた布(ぬの)
ライナーホースは、熱に反応して硬化する性質があるので、施工当日に既設管の管径、マンホール間の延長に合わせて加工されたものが
保冷車(-10℃~+10℃以内)にて搬入されます。
既設管の管径にもよりますが、樹脂を含浸させたライナーホースはまるで一升餅のようです。
ライナーホース(既設管φ600用) ライナーホース(既設管φ250用)
搬入されたライナーホースの発進側は拡径治具を取付け、到達側は端末処理を施します。
発進側 拡径治具取付け 到達側 端末処理
現場では、まず施工するマンホール間の管きょ内を高圧洗浄機にて洗浄します。
洗浄後、TVカメラにて管きょ内に堆積物や内面付着物が無いことを確認します。
その後、ライナーホースを既設管きょ内に引込みますが、事前に到達側から発進側へ引込み用ワイヤーロープを挿入しておき、
ワイヤーロープとライナーホースの到達側を引込み中に外れないように結び付けます。
発進側
φ600用は樹脂が含浸されると φ250用はなんとか人力で
とても重くユニックを使用して
到達側で、電動ウインチでワイヤーロープを巻上げてライナーホースを引込みます。
ライナーホース引込み完了後、循環ホースを接続し、水圧又は空気圧の圧力に注意して拡径します。
圧力は大丈夫かな~? 発進側 ちゃんと膨らんだかな 到達側 既設管との密着はどうかな?
既設管とライナーホースとの密着状態を確認後加熱し、循環ホースに取付けられた温度センサーの戻り温度が80℃以上を保持します。
既設管の管径によってライナーホースの厚みは異なりますが、120分~180分加熱養生を行いライナーホースを硬化させます。
加熱養生にはいろいろ車両がいっぱい 戻り温度は大丈夫かな? 80℃以上 確認ヨシ
所定の加熱養生時間が経過したら、ボイラーの運転を停止し冷却を行います。
戻り温度がある一定温度未満になったら各人孔の余分なライナーホースを切断します。
管口より3~5㎝位残して切断します。
管口切断が終わったら、車両の配置替えを行い、取付管口の穿孔をします。
これをしないと各家庭から排出される下水が本管に流れません。(これが本当のフン詰まり)
管内TVカメラで位置を確認しながらガリガリ 良かった~ が流れるよ~
施工前 施工後
既設管(ヒューム管φ600)の腐食・劣化や継目から水が浸み出している箇所がコーティングされました。
施工前 施工後
既設管(陶管φ250)のひび割れた箇所も改善されました。
管内面が継目の無い1つのライナーホースで形成され、流れも滑らかでスムーズになりました。
施工中は近隣の皆様にはご不便をお掛けしましたが、ご協力ありがとうございました。